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箱庭二丁目:今北産業の場合
Posted on 8月 13th, 2009 2 commentsこのblogでははじめまして。masoと申します。
箱庭ではオープニングDJをやらせていただいております。箱庭二丁目、いかがだったでしょうか。色々と実験的な要素の多いこのイベントですが、これからも「普段あまり見聞きしないけど面白そうなこと」に触れることで、いつもと違ったちょっと知的な気分になっていただければ、と思います。
では私のレポートを。まとまったレポートは2名がやってくれましたので、偏ってますが私が「箱庭でトークして!」と依頼した今北産業について。
彼はラジオDJのように音楽をかけてそれを紹介するというスタイルで、ネットラジオを中心にかれこれ5年ぐらい活動しています。DJや作曲などには一切目もくれず、とにかく様々な音楽を聴きまくってそれを人に紹介するという生粋の音楽リスナー。最近では勢い余ってイギリスBBCの番組DJに「コレ(日本のトラックメーカーの曲)かけて」とメールしたり(しかも採用された!)、海外のトラックメーカーに「こんなの作って」と依頼したりと、なんというか活動内容が既に雑誌のライターレベル。彼の口癖は「趣味は音楽です」なのですが、気軽な感じで音楽を趣味にしている方が聞いたら裸足で逃げ出しそうな勢いです。今回はダンスミュージックの本場であるukの先端アンダーグラウンドシーンについて、あちらで何が起っているかを彼なりの解釈をまとめて話してくれました。
ここではそれを私の解釈で簡単にまとめて再配信したいと思います。まず一枚目。今時のUK事情。
UK Garageや2stepといったジャンルが前世紀に流行しました。これらをふまえて2005年ぐらいから現れてきたのがdubstepや、grimeといったジャンルです。特徴的なのはベースの音でしょう。いままでは補足的だったベース音が、これらのジャンルではメインのメロディライン(と言うのは言い過ぎですが)になってきます。そこからbassline houseなどが派生していったのですが、どんどんマッシブになってしまったので少し柔らかい方向に揺り戻してきたのがuk funky。だいたい2007年から今年にかけてです。
2枚目。メジャージャンルからの視点。
メインストリームのジャンルといえるハウスやテクノにもベースの波が襲ってきます。Breakbeatsなどのジャンルに主張の強いベースが合わさって出てきたElectro/Bassline、そしてTechnoやHouseに不安定なベースを乗せることで発展したFidget House。近年のJusticeの躍進などがちょうどこれにあたるのではと思います。
3枚目。植民地音楽。
バイレファンキやボルチモア・ブレイクス、マイアミベースなどの普段聞き覚えの無いジャンルもやっぱりベースです。昔ヨーロッパ各国の植民地だった国(ブラジルや南アフリカ)の音楽も、UK界隈の音楽リスナーはチェック対象とのこと。独立や移民などによって文化が混ざったりするんでしょうね。hip hop/R&Bなどから影響を受けつつ、Getto Houseなどと交流しつつまた新しいジャンルも生まれたり消えたり、という。
そして最後4枚目。これからのUKはどうなるの?という話。
いろんな視点で見ると、ベースを前面に押し出した音楽が(ベースなのに)高音から低音まで出そろってきているのが最近の流れですよ、と。それらをまとめてベースミュージックと呼ぶ流れが出てきているそうです。また、マッシブなベースに飽きてきた連中に揺り戻しが発生していて、すこし柔らかい感じで、未来感のあるシンセ音をフューチャーしたSynth popやElectro Discoが出てきている、と。アメリカの方でもSpacy RockやPsychedelic Rockといったものが出現してきていて、そこに今までのベースミュージックやチップチューンなどが合流してきて、いま、UKで現在進行形で「宇宙的な/未来的な感覚」を押し出したジャンル「Outer Space」が生まれつつあるんだよ、というお話でした。
いかがでしたでしょうか。ほんとこの人は音楽的にイっちゃってますね。よくもまあこれだけの音楽情報を手に入れ、まとめ、再構築し、それを喋ってくれたものです。すごく勉強になりました。ありがとう今北産業!
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今北産業 ◆/dFyE/icpQ 8月 13th, 2009 02:19